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主人公のもとに一通の手紙が届くことから始まります。中身はこれまたふざけた内容で、ミステリ小説の中で今まで成し遂げれなかった、“読者が犯人”という最大のトリックを思いついたという仰天な内容でした。手紙を受け取った主人公も驚きを隠せないのですが、しかしそのトリックを知りたいと思うのは主人公だってそう。
そしてその手紙には是非とも自分の考えたトリックを小説化にしてほしいとのことだった。
いやはや、何とも興味を擽る出出しではありませんか。
第三十六回メフィスト賞受賞作品なんですが、これは久々の秀作の登場に胸踊りました。
何せ、今までミステリ小説の犯人たちはあらゆる人たちがいました。ほぼ世の中の職業は使われてしまったのではないでしょうか。しかし読者が犯人という構図はそうお目にかかるものではありません。
要するに、この“ウルチモ・トルッコ 犯人はあなただ ! ”を読了したら、読者は人殺しとなってしまうわけです。それもある一部の人たちが犯人になるだけでは駄目です。この世の男だけは犯人で女は該当しないでは駄目です。日本人が読んだら犯人にはなるけれども、諸外国の人間が読んだら犯人にはならないということでは駄目です。
そう、この本を読んだ人なら必ず人殺しの犯人となってしまうのです。
そんなネタ思いつきますか?
私ですか? この本を読み終わった後は見事に人殺しの殺人犯になってしまいました。いやこれは冗談で言っているのではなく、本当です。私は人殺しです。れっきとした殺人犯です。
警察が読んでも警察は人殺しになりますし、総理大臣が読んでも人殺しの犯人になります。
この作品については色んなレビューがありますけれども、私はかなり好きでした。「おおー! その手があったか!」と思いしらされました。
この本の表紙がまた遊び心が満載で、自分の顔がうっすら映るようになっているんですよね。“犯人はあなただ!”と言っているんです。
そういうことで私はかなり好きな作品ですので、この本を見つけたならば即買いをお薦めします。
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