俺は俺。でもここは何処?

12/42
前へ
/1048ページ
次へ
「黒髪黒目は、『ヤマト族』の特徴なんですよね。そして俺は、偶然かも知れませんがそれに合致すると」  嫌な予感を通り越して、何かの悪意すら感じる。 「魔法を使いたいのか?」 「『使えない事を確認して安心したい』です」  これで「使えない」と分かれば、そこまで気兼ねせずにこの家の世話になれるんだから。 「変わった奴だな。魔法が使えないのを期待するなんて」 「異世界から来た、なんて言ってる奴ですよ? 価値観が違って当たり前です」 「そりゃそうか」  どうやら納得してくれた様だ。 「それで、確認の方法は教えて貰えるんですか?」  早く知りたい。  良い結果なら。 「そんなに確認したいなら、私がしてあげよっか?」  と、今まで大人しかった桜が会話に混ざってきた。 「すぐに出来るよ」 「それは是非ともお願いしたい」  早く安心したいから。 「じゃあ、両手を貸して?」  促されるままに、桜に両手を差し出す。 「じっとしててね」  すると、差し出した両手を掴まれた。  俺と桜の腕で、輪が形作られる。 「んー……」  桜は目を閉じ、集中している様子。 「……ん!」  その声と共に、今まで感じた事の無い感覚を覚えた。  近いのは、流水プールか。  両腕と肩のラインだけが、流水プールに浸かっている感じ。 「うわー……凄い」  桜さん。  感想、ありがとうございます。  大体分かりました。  魔法を「使えない人」の方が多い中、俺は「凄い」んですよね?  分かったよチクショウ。 「うん、確認出来たよ」  良い笑顔だ。 「宗助は魔法を使える」  ここで流れを裏切ってくれよ。
/1048ページ

最初のコメントを投稿しよう!

47645人が本棚に入れています
本棚に追加