課題

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 俺の名前は結城宗助(ユウキ ソウスケ)。  大学四年の男。  人並みの運動神経と、人並みの頭と、人並みの身長と、人並みの顔を持つ。  少なくとも、俺自身はそう思っている。  そんな俺のなりたい職業は、SE。  システムエンジニアだ。  そう思い始めた切っ掛けは些細なモノだった。  大学の講義で出されたプログラミングの自由課題が、文字通り自由にプログラムを組むモノで、それの仕様を考えて実際にコーディング(プログラムを実際に打ち込んでいく事)を行うのがとても楽しかったと。  ただそれだけの事。  でも、本気で楽しかったんだ。  問題解決の方法を、自分だけのやり方で考える事が。  そしてそれが、コンピュータ上で実現されたという事実が。  だから俺は、就職活動を始めた時から、それを仕事に出来る職種に就きたいと思ったんだ。 「……けど、キッツイなコレは」  俺は自宅の自室のデスクの前で、ゴシャゴシャと散乱した物に囲まれるデスクトップパソコンのディスプレイと睨めっこをしている。  それは何故か。  理由は単純明快。  企業から送られてきた課題と、激戦を繰り広げているからに他ならない。 「……少し、休憩するか」  時計を見ると、かれこれ五時間程ぶっ続けで課題に取り組んでいたらしい。  その事実が発覚すると、急に疲れがやって来た。  主に、目と首に。 「ふぅ……」  椅子の背凭れに身を任せ、アルファベットと数字から離した目を閉じる。 「……ん?」  何だか少し肌寒い。  そう思って目を開け、状況確認。  アレ~?  窓から見える景色が暗くなってるぞ~? 「まあ、寝てたんだよな、俺は」  グッスリと。  ああ、寝る前より首が痛い。  寝違えてはいないみたいだが。  ……腹、減ったな。  そう思い、椅子から立ち上がる。
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