俺は俺。でもここは何処?

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 包丁を研いで切れ味を回復させた俺は、快適に切れる食材に満足しながら料理を終えた。  献立は味噌汁と焼き魚、そしてご飯。  見事なまでの和食。 「何だか新婚みたいだねー」 「ブッ、コホッ!」  いきなり妙な事を言われたものだから、噎(む)せてしまった。 「ケホッ、ケホッ!」  ご飯の一口目を飲み込むタイミングだったのが最悪だ。 「ハァ……、ふぅ」  ああ、落ち着いた。 「……物凄く、失礼じゃない?」  わぁい。  左隣からドス黒オーラが溢れ出してるー。 「いや、急に予想外な事を言われた所為だ。俺だって悪気があった訳じゃ無い」  俺は努めて冷静に弁解。  黒いオーラが肥大化した。 「……ごめんなさい」  謝る以外に選択肢が無かった。  オーラの向こう側に、般若が見えた気がしたから。 「………まあ、良いけど」  オーラを収めてくれた桜はしかし、不機嫌そうな表情のまま。 「あー、その……本当にただ驚いただけで……」 「………」  無視ですか。  仕方無い。  時間を置こう。 「桜、宗助、おはよう」  俺達二人が朝食を食べ終えようとしている所で、昭久さんがやって来た。 「おはよう、お父さん」 「おはようございます」  桜の表情は、いつの間にか普段通りに戻っている。  相変わらず、俺との会話は無いが。 「この朝食は、二人で作ったのか?」  何か普段と違う所があったのか、昭久さんは席に着くなり訊いてきた。 「一応、材料を切るのは手伝わせて頂きました」  とりあえず自己申告。 「そうか」 「何か、駄目でしたか?」  不手際があったなら、謝らないとな。 「いや、大丈夫だ」 「そう、ですか」 「いただきます」  昭久さんは両手を合わせ、食べ始めた。
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