47640人が本棚に入れています
本棚に追加
/1048ページ
「我ながら、棒読みになってしまった様な気がしてる訳なんだが……信じてくれたのか?」
何と無く不安になり、俺はリズの顔色を窺いながら訊いた。
「……はい!」
ウワァ良イ笑顔ダナァ……。
幼い子が浮かべる様な、混じりっ気の無い純粋な笑顔。
雰囲気は、高熱を出して寝込んでいた時に近い。
その上位互換と言った所だろうか。
「これからは、ユウキ殿の事を信じます。……信じ続けます!」
両手を胸の前でグッと握り、「私、頑張ります」と言った感じ。
……妙なスイッチが入ってやがる!
「リズ、少し落ち着け。俺はきっと、これからも嘘を吐くに違い無───」
「それでも信じます!」
「───……」
嘘……、滅多な事では吐けなくなった。
「思えばユウキ殿は、こちらが真剣に質問した時に嘘を吐いた事、または嘘をそのままにした事はありません」
いや、必要な所では事実を語るさ。
「にも関わらず、私は些細な嘘を気にするあまり、ユウキ殿を信じていませんでした」
それは仕方が無いだろう。
正常な判断だと思うぞ。
「それは間違いだったのだと、私は今に至って気付いたのです」
「思い込んだら止まらないな!?」
俺がそう言っても、リズの碧眼は全く濁りを見せない。
「良いから考え直せ! 俺は全幅の信頼を寄せて良い様な人間では、無いんだよ!」
誠意には誠意を以て応える所存ではある。
しかしだからと言って、リズが俺に向けようとしている巨大な誠意に、果たして俺が応えられるのか。
「もう迷わないと決めましたから」
ウワァ良イ笑顔ダナァ……パート2。
「あれだけの事がありながら、それでもユウキ殿はここに居てくれる。迷う必要など、無かったのですよ」
眩し過ぎる……。
リズの笑顔が眩し過ぎる!
根が卑屈な俺には、あまりにも……ッ!
最初のコメントを投稿しよう!