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「ま……、取り合えずこんなトコか」
部屋にある掛け時計は、午前二時を示していた。
課題は八割方が終わり、明日───いや、正確に言うと今日の午前中には、残りも全て終わらせられるだろう。
だからこれはひとまず切り上げ、もう寝よう。
……って、ダメだな。
風呂に入って無いし、歯も磨いて無い。
朝イチで済ませても良いが、少し気持ち悪い。
サッパリしてから寝たいしな。
そう思い、俺は風呂場へと歩き出す。
体を洗って歯も磨いた俺は、ベッドに倒れ込む様にして寝転がった。
しかし、どうも頭が冴えて眠れそうに無い。
「深夜までプログラム組んだりなんか、するモンじゃ無いな……」
それでも夜は更けていく。
ピー、ピー、ピー、っと、目覚ましのアラームが鳴り響く。
少しだけ肌寒い、日の光が穏やかな朝だ。
「ん……っ、ハァ」
上半身を起こし、両腕を伸ばした。
まずは朝食だな。
ベッドから完全に起き上がり、部屋を出て、一階に降りる。
我が家の朝食は、大体がパンだと相場が決まっている。
今日も例によってパン───食パンだ。
それしか無かった。
俺は食パンをトースターにセットし、冷蔵庫からマーガリンとブルーベリージャムを取り出す。
狐色に焼けた食パンにマーガリンとジャムを塗り、それを頬張りながらテレビを見る。
会話は無い。
何故なら、この場には今は俺しか居ないから。
ウチは核家族で息子が一人。
三人家族だ。
両親は共働きで帰りが遅いと言ったが、行きも早い。
しかし今日は日曜日。
会社は休み。
なら何故、この場には俺しか居ないのか。
これまた単純明快。
疲れているからだ。
疲れて寝ているからだ。
こんな具合に、この家族はバラバラ。
「核」家族なんて名前のカテゴリに入れられながら、見事に分割されている。
更に、来年の春から俺は社員寮で独り暮らし。
国内とは言え、新幹線や飛行機で行く様な距離だから、もっとバラバラになる。
ま、家族仲が良い訳でも無し、付き合っている彼女が居る訳でも無し。
特に何の感慨も湧かない訳だけど。
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