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「さ、やるか」
食パン一枚を平らげた俺は、自室へと戻る。
朝はあんまり胃に入らないんだよ。
「……出来た」
コーディング終了。
しっかし、良く分からないプログラムだ。
いや、「何をどう処理しているのか」は分かっている。
でも、「何を目的としているのか」が全く以て分からない。
「課題だから」と言えばそれまでかも知れないが、それにしたって普通は、何かしらの使い道くらいは思い当たりそうなモノだ。
「………ま、『課題だから』」
結局そう結論付け、実行。
黒い背景に白い文字列が高速で表示されていき、改行と共に上へ上へと流れていく。
処理にはfor文(繰り返し)や再帰が多用されているから、終わるまでには時間が掛かる筈。
具体的には数時間単位で。
その間、適当に暇潰しを───
反射的に、俺は目を閉じた。
ディスプレイから突然、失明するんじゃないかと思う程の、強烈な白い光が発せられたから。
身体が重い。
どうやら仰向けに倒れているらしく、後頭部に鈍い痛みを感じた。
一体、何が起こった?
ディスプレイって、あんなに強い光を出せる物なのか?
訳が分からないまま、ひとまず閉じていた目を開く。
そして視界に広がったのは、雲一つ無い青空。
「……は?」
上半身を起こし、更に愕然とする。
「草……原?」
背の低い草が辺り一面を覆い、所々に広葉樹が生えている。
そんな馬鹿な、と思う。
だって俺は、ついさっきまで自宅の自室に居たんだ。
こんな場所は知らない。
知っている筈が無い。
「………夢なら、醒めろっ!」
自分の頬を、両手で左右から思い切り叩く。
バチンッ、という音と共に、殆んど激痛と言って良い程の痛みを感じた。
「~~~ッ!?」
間違い無く、痛い。
現在もヒリヒリと、痛む。
痛む。
痛む?
何故?
夢だろ?
何で?
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