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「けどアンタは……いや、『貴女様』は! 俺達が薄汚ねぇ犯罪者だと知っても、そんな慈悲深い眼差しを向けてくださる!」
いや、暗い表情にはなっていたかも知れないけれど!
「戦ってた時だって、俺達が重傷を負う様な攻撃はしないでくださった!」
それは双方の事情が分からなかったからであって!
「あまつさえ、こうして凍えない様に暖めてくださる!」
だから事情が……ッ!
「戦乙女(ヴァルキリー)の名に相応しい気高さに、女神の様な深い慈悲のお心! 俺ら、心の底から貴女様に惚れましたッ!」
「「惚れましたァッ!」」
な、何だこの人達は!?
動揺を隠すので精一杯だ……!?
「どうか、どうか! 貴女様の為に働かせてくださいッ!」
そして一斉に、頭を下げる。
───全力でこの場からの逃走を計りたくなったが、頑張って踏み留まる。
踏み……、留まる。
………よし、落ち着こう。
「貴方達の気持ちは、良く分かりました。まずは顔を上げてください」
私のその言葉に、男達は恐る恐る顔を上げていく。
「そう怖がらないでください。事態がどう転ぶにしろ、貴方達の身の安全の保証は私がします」
ここで、責任者とまだ話をしていたログを一瞥。
溜め息混じりに頷かれたので、問題は無いらしい。
「では、まず移動しましょう。確かに酷い怪我は負わせていないつもりですが、手当てが必要な方は多い筈です。貴方達の拠点に、案内して頂けますか?」
私の質問に対し、
「「喜んでッ!」」
即座に嬉々とした返事が帰ってきたのは、言うまでも無い事だろうか……。
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