青い炎の魔法使い

22/45
前へ
/1048ページ
次へ
「で、蒸し返すみたいで悪いんですけど───」  私は再度、剣を突き付ける。 「将来の夢は剣の錆になる事ですか。ならば私が叶えて差し上げましょう」 「───って、違いますよ! ホントは何で落ち込んでたのか訊こうとしただけですって!」 「……そうですか」  私は静かに剣を引く。 「別に、大した事ではありません。ただ、ユウキ殿に命を救われた恩をどうすれば返せるのか……分からなかっただけです」 「すげー重いんですけど。十分大した事なんですけど」  そう言う割には、随分とアッサリしている。 「他人事の様に言っていますが、貴方も私と同じでしょう。私程、直接的ではありませんでしたが」  マクダネル少尉は、きちんと理解しているのだろうか?  軍人が民間人に命を救われたと言う事実を。 「……黙っとくって言ったしなぁ」 「はい?」 「いや、何でも無いです。独り言なんで気にしないでください」  何故か遠い目をしながら、マクダネル少尉はこれ以上の詮索を拒否した。 「まあ、俺だって分かってますよ。守る側と守られる側が逆転しちゃってた事くらいは」  そして返って来たのは、的を射た内容。 「ならば───」 「でも、ですよ」  私が言葉を発する前に、マクダネル少尉は続けようとする。 「───。何ですか?」  私はひとまず、聞き手に回る事にした。 「宗助さんを、俺達が考える『民間人』のくくりに入れてしまって本当に良いのか、って事です」  ………。 「強力な魔法に対して、比較的免疫がある俺達から見ても、宗助さんの魔法は規格外でしたからね。出会って最初の時なんか、狙いが明らかだったとは言え、咄嗟の攻撃であの威力と精度ですよ? 軍の魔法使い連中も真っ青でしょう」 「それは……」  言い掛け、言葉に詰まる。 「準備を行ったその上で、ただ広範囲に適当に攻撃するのとは、訳が違いますからね」  ………。
/1048ページ

最初のコメントを投稿しよう!

47645人が本棚に入れています
本棚に追加