青い炎の魔法使い

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「キャヴェンディッシュ中尉が軍の中で戦乙女(ヴァルキリー)って呼ばれてるってのは、言いましたよね?」  俺は余裕の表情で、宗助さんに質問。 「聞いたな、間違い無く」  宗助さんはやっぱり苦笑いを浮かべている。 「まあ、それは頭の片隅にでも置といてください。で、キャヴェンディッシュ中尉の訃報が届く。フィリスに向かう途中にある森の中で、遺体が見付かったと。或いは完全に消息不明になったと」  もう語る必要も無いんじゃないかと思うけど、俺は続ける。 「状況それのみを冷静に見れば、獣に襲われて亡くなってしまったと判断、または推測出来る。でも、その足跡は確実に調べられる。最低限、村に『着いた』のか『着かなかった』のかは」  語るのが億劫になってきたけど、ここまで来たしなぁ。 「それを調べるのは簡単ですよね。黒髪黒目が特徴のヤマト族しか住んでいない村に、金髪碧眼の女性が訪れたかどうかを調べるだけですから」  驚く程簡単な話。 「すると、その村で一泊までしていた事が分かる。後は芋づる式ですよ。戦乙女(ヴァルキリー)を祭り上げていた連中が、それはそれは積極的に調べる。徹底的に」  その光景が目に浮かぶ様だ。  宗助さんは、ずっと苦笑を浮かべたまま。 「以上です。何か質問は?」 「俺がカラムの想定より馬鹿だった場合はどうした?」 「語りますよ、今さっきみたいに」  苦笑に加え、溜め息まで吐かれた。 「馬鹿なら馬鹿で、俺の話を鵜呑みにするでしょう?」 「……だろうな」  いやぁ、楽しかった。
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