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「何より人が良いんですよ、宗助さんは。どうせ用事も、手早く終わらせてきてくれますよ」
キャヴェンディッシュ中尉の不安を打ち消す様に、楽天的な言葉を繰り出した。
ぶっちゃけ的外れでも無いと思うけど。
「そう……でしょうか」
それでも不安は残るのか、キャヴェンディッシュ中尉の声はやや暗い。
「そこまで不安がるくらいなら、やらなきゃ良いのに……」
思わずそう言ってしまった。
「しかし、接触してしまった以上───」
「それで成功率下げてちゃ世話無いですよ。今のキャヴェンディッシュ中尉は空回りしてます」
「───ッ!」
俺の辛辣な言葉に、キャヴェンディッシュ中尉は顔をしかめた。
「ま、焚き付けたのは俺ですけどね」
けど、まさかここまで動くとは思って無かった。
「とにかく今は待ちましょう。それしか出来ないんですから」
昼前頃。
「早いですね」
宗助さんが宿屋に戻ってきた。
特に何かを持っていたりはせず、用事が何だったのかの推測も出来ない。
「人に会って話すだけだったからな。そこまで時間は掛からないさ」
話の内容がスゲー気になる。
話してくれないらしいけど。
「じゃ、サザランド城に向かいましょうか。キャヴェンディッシュ中尉、ボーッとしてないで行きますよ」
「……わ、分かっていますっ!」
キャヴェンディッシュ中尉は宗助さんが戻ってきてから、ホントにボーッとしてた。
「宗助さんは、馬に乗った事ってありますか?」
宿屋に預けた馬を引き取り、重要な確認。
「いや、流石に乗馬経験は無いな」
そっか、無いかー。
「じゃあキャヴェンディッシュ中尉の後ろに乗ってください。俺と一緒にってなると、馬に掛かる負担がでかいんで」
あんまり良い馬には乗ってこなかったからなぁ。
「私の後ろにですかっ!?」
キャヴェンディッシュ中尉は盛大に驚いた。
それ以外に無いのに、そんな言われても。
「宗助さんに走れと?」
「言いませんよっ!」
「じゃ、お願いします」
俺は行きに乗ってきた方の馬を引き、街の外へと歩き始めた。
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