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結局私はまともな反応が出来ず、ベクタへと入ってしまった。
「ユウキ殿、先程の話ですが流石に───」
私もソウスケも馬から降り、流石にここできちんと言葉を返そうと思う。
「冗談を冗談として受け取れないのは、色々面倒そうだな」
全く悪びれた様子も無く、ソウスケは真顔で言った。
「───。ユウキ殿? それはつまり、私をまた、からかったと。そう言う事でしょうか?」
真面目に考えた私が馬鹿だった。
「冗談で街の名前を訊いてみたら、あんまり素直に答えてくれたからな。面白くて」
素敵な笑顔ですね、ソウスケ───いや、「ユウキ殿」。
「そうですか。喜んで頂けた様で何よりです。では城に向かいましょう。秘密を洗いざらい吐いて頂きますから!」
段々と語調が強まっていく事を自覚しながらも、私はそれを抑えるつもりになれなかった。
命の恩人だからと気持ちを抑えていたが、この人には必要無い。
こんな不誠実な人には、相応の対応を取らせて貰う。
「どうかしたんですか、キャヴェンディッシュ中尉?」
私達よりやや遅れて到着したマクダネル少尉が、馬を引きながら近付いて来る。
「何でもありません。早く城に向かいましょう」
そんな筈は無い、と言う顔をされたが、私はそれを無視して歩き出す。
……魔法使いは、やはり嫌いだ。
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