青い炎の魔法使い

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「信じられない事を言っている自覚はあるんだけどな。とにかくこんな内容を、軍人に囲まれた状態で話すつもりは無い」 「そりゃそうですよね。虚実問わず、言ったら打ち首な気がしますし。どっちにしろ信じちゃ貰えないでしょうから」  別の話をでっち上げてでもそれは言わない方が、まあ普通は無難だろうし。 「そうそう。話す相手は俺の上司で、キャヴェンディッシュ中尉の父上ですよ。階級は中将です」 「……軍人の家系だったのか」  まあ、女性軍人って大体そんな感じだし。  母数自体が少ないけど。 「あと、意見を変えるみたいでアレなんですが、事実を語った方が良いと思います。軍人としてでは無く、カラム=マクダネル個人として」  俺がそう言うと、宗助さんは不思議そうに俺の顔を見てきた。 「俺に死ねと?」 「違いますよ。命の恩人に死ねとか思いませんよ」  幾ら何でも。 「なら、嘘が通じない相手だと?」 「ちょっとした事を誤魔化そうとしても、全部バレました。勿論、両手で数えられる様な数じゃ無いですよ?」  キャヴェンディッシュ中尉がソレを受け継がなくて、ホントに良かったと思う。  もしくは、これから開花されたら困る。 「それはそれは……何をしてきたんだ?」 「いやぁ、経費を少~しだけ誤魔化して酒を買ったりなんかして。給料から見事に天引きされてましたけど」  何も言わずにってのが、恐怖心を煽ったよなぁ。  懲りずにやってるけど。 「最近は給料の前借り気分でやってます」 「そもそもするなと」  ごもっとも。 「まあとにかく、俺は忠告しましたよ。後は宗助さんの判断次第です」 「実は、『軍人として』の意見だったり?」 「半分くらいは」  この人も大概、鋭いよなぁ。  喋ってて楽しいから良いけど。
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