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俺ことログは今、アインの金ずる───もとい、資金提供国であるレイノルズの国営施設に居る。
コンクリートの床に壁に、配管が剥き出しの天井。
運動会でも開催出来そうな広さに、いやそれは絶対に無理だと主張する数々の巨大オブジェクトが鎮座。
等間隔に並んだそれらオブジェクトは、大人が四人程手を繋げば周りを取り囲めるかという太さの円柱の上に、一回り細くなった円柱が乗っている。
太い部分の円柱には大きく開いた口があった。
そのオブジェクトの内の二つは、口の中から真っ赤な光と肌を焼く熱気を吐き出していて。
その光と熱を蓄えている赤熱した金属が、暑そうに汗を拭う作業着姿の男達によってその口から取り出されていく今現在。
「鉄は熱い内に打て」の諺の「意味通り」と言うよりは「文字通り」に、火花を散らしながら鎚で何度も打たれる金属。
徐々に徐々に形を為していくそれらは、剣になっていく物だ。
最終的には、「俺以外の技師四人」の手によって機器(デバイス)となる予定。
俺の仕事は、最後に「蛇足」を付け足す事。
ここは、レイノルズの機器(デバイス)製造工場だ。
資金提供の対価として要求された、機器(デバイス)技師。
いつまでの期間、どの様な目的で、何処までの指示に従うか。
そんな事を他にも色々細かく取り決めて、「俺自身が」技師の一人としてここに居る。
いや、だって技師に関しての指定は経験年数だけだったし。
何も契約違反はしてないさ。
「宗司様、やはり今日のところは『仕上げ』の工程まで進みそうにありません。この場は我々にお任せを」
技師の一人が、煤けた顔で報告と提案をしてきた。
作業着もすっかり汚れて、手のひらの皺まで真っ黒。
白髪混じりの短い青髪で、歳は四十半ばの男性。
アインが抱える機器(デバイス)技師の中でも、かなりのベテランだ。
「作業中の物の『仕上げ』は、恐らく予定通り明後日か。そうだな、今日はもうお前達に任せる。もし何かあればすぐに連絡をする様に。連絡が無くても一応、明日の朝はこちらに顔を出す。今日のところの進捗確認は、その時にな」
定期連絡は大事だし。
予定は崩れる事まで想定してこそ。
「了解です。お疲れ様でした」
作業中の他三名も、作業を継続しつつこちらに「お疲れ様でした」と。
「ああ、お疲れ様」
そこまで言って、俺はディレクトリ操作。
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