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「聞きたければ、彼に対して同じ質問をどうぞ」
重ねて質問ようと俺が口を開くその前に、リーズロットさんは釘を刺してきた。
「言葉を交わしたとは言いましたが、内容はほとんど一方的な話でしたから。私は返事をしたに過ぎません」
忘れてないじゃん、ほら。
至極当然の事として分かってたけどさ。
「つまり、話を聞くならアルヴァからであるべき内容だ、って認識で良いのかな?」
単なる嫌がらせで内容を明かさないって訳では、どうやら無さそうだ。
「そうですね。騎士として筋の通った方の様でしたし、私も無粋な真似はしません」
共感出来る部分があったのかな。
何となく分かるけど。
「それにしても、そうですか。ミーアは随分と優秀な魔法使いに成長しているのですね。元々優秀な部類ではありましたが」
特大のブーメランだね、って言っても話は通じないんだろうなー。
「飛鳥からの補助を無くせば、アルヴァとどっちが勝つか分からないけどさ。少なくとも勝つ可能性があるのは確かだ」
魔法使いという括りで言えば、既に宗助と並んだか?
いや、微妙なところだな。
アイツ、何か手札を隠してるみたいだし。
俺が思考に集中していると、青い双眸がこちらを見ていた。
「ミーアも、貴方にとって重要な役者なのですか?」
こちらの本心を見通そうとする、透き通った蒼(あお)。
宝石の輝きにも似たその眼光は、けれど刃の鋭さをも宿して。
「それこそ宗助が死んでも大丈夫なくらいの、特大の保険だよ。死ななくても、とても助かる役者だけど」
いやー、ホント、「彼」は良い仕事をしてくれたよ。
してくれる、と現在形で言うべきかな。
「……嘘では無い様ですが、何か隠していますね」
これちょっとヤバいな。
あんまり会話しない方が良いかな。
何処まで把握されてしまうか、予測出来ないんだけど。
「勘弁してよ」
視線を横に外しながら、内心で白旗を振り回す。
「……嘘が下手になりましたか?」
違うよ、君が覚醒しただけだよ。
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