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次の言葉を待つ私───リーズロット=キャヴェンディッシュ。
しかし。
「……いや、そうだな。質問の前に、私に青い炎を見せてくれないか?」
父上は若干目を輝かせながら、ユウキ殿にそう言った。
「無論、結城殿を疑う訳では無いが、単純に興味があってな」
その気持ちは、分からないでも無い。
何度も見た私でさえ、あの幻想的な色彩を放つ炎には心惹かれるモノがある。
むしろ、見たからこそだろうか。
「……分かりました。では」
ユウキ殿は一歩下がり、水を掬う様に両手を構える。
そしてそこに、青い炎が出現した。
「炎は赤い」と言う常識を、目の前で覆されている事実。
それはやはり、現実離れした光景で。
美しい青の色彩も相まって、私を陶酔させる。
森の中で見た炎も美しかったのだが、今は余裕があるからか、目の前に在る炎の方がより美しく感じた。
突然、青い炎が消える。
「これで宜しかったでしょうか?」
その声で、私は現実へと引き戻された。
「……キャヴェンディッシュ中将?」
「あ……、ああ。有り難う。十分だ」
初めて見た分、私よりも衝撃が強かったのか、父上は珍しく鈍い反応だった。
「では今度こそ、質問に入らせて貰おう」
しかし次の瞬間には、普段の堂々たる様が現れた。
「結城殿、貴方はどうしてあの様な魔法を使える?」
直球の質問と、射抜くかの如き眼光。
この二つを前に嘘を吐き通せた者を、私は知らない。
「青い炎など、私は今まで見た事も聞いた事も無かった。しかし現に、結城殿はそれを成した。それにはどの様な理由がある?」
果たしてユウキ殿は、どう答えるのか。
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