トイレの神様

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 振動と肛門の一進一退の攻防が始まり早30分が経過していた。この頃になると少し気持ちにも余裕が出来、もしかして我慢しとせるかもというレベルに達していた。  本来ならば喜ぶべきことだが、この男は違った。それでは困るのだ。  ギリギリまで…自分の限界ギリギリまで…いやそれをも超えて的に打ち勝つ。(社会的な)死を意識する極限のスリルと助かった時の安堵感。またはそれによって得られる性的な快感。それが欲しいのだ。  少考し盛太郎は賭けに出た。敢えて肛門出口付近、顔を出すか出さないかというところまでウンコを進めてみよう。ハイリスクハイリターンな危険なギャンブル。  これに勝てれば俺は自分が捕われている過去の呪縛から、やっと抜け出せる。盛太郎は何も成していないうちから涙が出そうになった。  そう、この男がこんな危険なゲームをするようになったのには事情がある。過去の苦い思い出。  盛太郎は噛み締めるように記憶を辿り始めた。
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