トイレの神様

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 回想から戻った盛太郎はグッと肛門に力を込めた。  「おばあちゃん。おばあちゃんはうんこを憎むなって言ったけど、当時の俺には無理だった。でも今になって何となく分かったんだ。憎しみは何も生まない!だから…だから、俺は真っさらな気持ちでうんこと向き合って勝負する。そしたら、勝っても負けても俺はうんこと新しい関係を気付けるはずだよ。おばあちゃん、見守ってくれ…!」  今の盛太郎には腸内のウンコがどのように移動しているか正確に把握出来る。5ミリ、1センチ、ゆっくりとだが確実にうんこは道を進んでいた。予定地点まであと3ミリ…2ミリ…1…。  勝利は確実かに思えた。だが…  「警察です!皆さんこの車両からすぐに退避して下さい!その男から離れて下さい!」  銃を構えた警察を名乗る女が声を上げた。銃の先が示す標的は盛太郎だ。  「やっと見つけたわよ。観念なさい!」  「は?え?警察が僕になんの?」  女はフッと笑った。  「フン、とぼける気?いいわ、お芝居に付き合ってあげる。私は表に出ない裏の事件を担当する警視庁珍事件保安課…通称ちんぽの警部補よ!覚醒した妖怪を殺しに来たの。そう、妖怪うんこ漏らし!あなたをね!」  「はあ?何を言って……あっ?ああ!あああ!気を抜いたからうんこが!うんこがぁ!」  会話に気を取られた一瞬の油断。それで勝負はひっくり返った。もはやうんこを止める術は無いのだ。  「えっ?なによ…もしかして本当に覚醒前だったというの!?だとしたら…だとしたらあたしはなんてことを!」  ブッ…ブリ~。ブリッ…ブリブリブリ…ブリブリブリブリ!!!  うんこが凄い勢いで盛太郎の肛門から吹き出る。  「なっ、なんだ!こんなに僕の肛門からうんこが!僕は一体…うっうううう…あああああ!」  盛太郎の中の何かが目覚めようとしていた。
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