トイレの神様

7/7
前へ
/7ページ
次へ
 その日の夜のとあるマンションの一室。  「おいおい、今日は仕事で倒れたんだって?気をつけてくれよ…新婚で妻を亡くすなんて冗談にもならないからな。料理なんかいいから寝てろよ。」  料理をする女を旦那らしい男が心配そうに見つめている。  「ふふふ、やあねえ心配性なんだから。ちょっとした立ちくらみよ。もう大丈夫。仕事は私の勝手で続けてるんだから家事もキチンとしなきゃ。愛する人の為にね。」  そう言って女はパチッとウインクして見せた。  「ありがとう。ま、大丈夫ならいいんだけどな。クンクン…なーんか今日の夕食ニオイがきついけど何作ってるんだ?」  「カレーよ。」  「カレー?このニオイが。」  ふふふ…と女が笑う。余りに怪しく冷たい微笑みに男はなぜだか背筋が寒くなった。  「そう、隠し味があるの。おいし~い隠し味。もう少し待ってね、きっとあなたも気に入るわ。」  そう言って女は再び料理に戻るのだった。 ~完~
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加