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その日の夜のとあるマンションの一室。
「おいおい、今日は仕事で倒れたんだって?気をつけてくれよ…新婚で妻を亡くすなんて冗談にもならないからな。料理なんかいいから寝てろよ。」
料理をする女を旦那らしい男が心配そうに見つめている。
「ふふふ、やあねえ心配性なんだから。ちょっとした立ちくらみよ。もう大丈夫。仕事は私の勝手で続けてるんだから家事もキチンとしなきゃ。愛する人の為にね。」
そう言って女はパチッとウインクして見せた。
「ありがとう。ま、大丈夫ならいいんだけどな。クンクン…なーんか今日の夕食ニオイがきついけど何作ってるんだ?」
「カレーよ。」
「カレー?このニオイが。」
ふふふ…と女が笑う。余りに怪しく冷たい微笑みに男はなぜだか背筋が寒くなった。
「そう、隠し味があるの。おいし~い隠し味。もう少し待ってね、きっとあなたも気に入るわ。」
そう言って女は再び料理に戻るのだった。
~完~
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