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  一年後、風都。 「起きても構いませんよ。」 白衣を着た男が、カルテから目を離し、診察台に横たわる青年に目を向けた。 「結果は?」 青年は起き上がると、首を鳴らしながら、白衣の男をちらりと見やった。 「おや、機嫌が悪いですね。また『夢見が悪かった』んですか?」 「『結果は』と聞いているんだが、井坂先生。」 青年は声を半オクターブ下げて、井坂を睨んだ。 そう、この男は、あの『夢』のことを知っていて態と聞くのだ。 『夢見が悪かったのか』と。 「おや、失礼。異常なしですよ。」 井坂は反省の欠片もこもっていない口調で青年の質問に答えた。 「少し痩せたみたいですが、大丈夫でしょう。来月は何時ぐらいに来ますか?」 「・・・まだわかんねぇ。」 青年も井坂のそんな態度には慣れているのか、結果を聞き、ささと着替え始めた。 「このあと、食事でもと思いましたが、急ぐんですか?」 「悪いが、硫兵衛様に食事会に呼ばれている。なんか、冴子さんが俺も呼んでほしいだと。」 「そうですか。では、また会いましょう。『ジョーカー』君。」
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