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青年視点
俺は、診療所を出るとバイクに跨った。
井坂は嫌な奴だが、俺の専属医をやってくれている。よく食事にも連れて行ってくれるが、奴と行くと食欲がなくなるのは何故だろう。
少なくとも俺の十数倍は食べるよな、アイツ。
『ジョーカー』
これは一応俺の名前だ。
ちなみに俺は列記とした日本人だ。
一応ってのは訳がある。
俺は記憶喪失・・・ここ一年より前の記憶がない。
目が覚めた時には、包帯グルグルで井坂の病院にいた。
今は、園咲の家で『表向き』は、園咲家次女の専属執事みたいにやっている。
まぁ、俺も園咲の一員扱いになってるが・・・。
『ジョーカー』と言うのは俺が持つあるものの名前からとったものだ。
・・・・・俺は、思い出したい。自分が何者なのかを。
『あの夢』はきっと俺の失くした記憶。
俺に向かって手を伸ばす、少年を・・・男を・・・青年を・・・
俺は・・・
「『ひだり しょうたろう』に戻りたいよ・・・。」
しかし、それは許されないこと。
俺が『切り札』である以上、俺は『ひだり しょうたろう』にはなれないのだから。
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