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バイクを走らせていると、フルフェイスのメットを通して感じた嫌な臭い。
目を向けるとトンネルから立ち上る黒煙。
「(『マグマ』・・・か。・・・って!こっち近道なんだけど!)」
と、ジョーカーは一人落胆する。
これじゃぁ、遅刻決定だな。
メットを脱ぎ、状況をよく見極めようとあたりを見回す。
すると、目に入った見覚えのある顔。
ジョーカーは、ゆっくりとその人物に近づく。
「若菜さま。」
若菜と呼ばれた少女は、ジョーカーの姿を認めると険しい顔から一変して、華やかな顔になった。
「まぁ、ジョーカー!病院帰り?」
「えぇ。若菜様は仕事帰り?・・・・・『マグマ』のようですよ。」
ジョーカーはため息をつくと、後ろのトンネルを見る。
ちょうど、赤いジャケットの青年と白いスーツの男が入って行っているところだった。
「そのようね。これじゃ、晩餐会に遅れるわ。貴方も参加するのでしょう?」
「急ぎますか?遅刻決定ですけど。」
ジョーカーは口角を釣り上げた。
若菜もそれを見て、笑顔を見せた。
「お願いするわ、ジョーカー。」
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