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距離の意味
君が鮮やかに笑うから、なんだか暖かい気持ち。
少し前なら白い笑みを浮かべて、僕を立ち止まらせた。
かすかにだけど、君は優しくなった?
冷たかった手先も、心なしか前より冷たくない。
それはそれで構わないけれど、物足りない感じさ。
どんなに離れていても、心だけは離れてしまわぬように。
側に居なくても、気持ちがひとつであれば幸せだよね?なんて。
今は止まりはしないから、僕も止まらないでいたい。
いつか過去になるのは解ってるけど、それがとても信じられない。
かすかに未来が見えたら、それは終焉を告げる鐘かもしれない。
繋いでいる手はやがて離れ、僕の知らない手に移り行くだろう。
それはそれで仕方ないけれど、やるせない感じさ。
どんなに離れていても、心だけは離れてしまわないでと。
側に居なくても、気持ちがひとつであれば幸せなんだよ?呟く。
誰かの心に住みたくて自分を強く見せたり、弱く魅せたり。
本当の涙は流さない、ただの嘘を落としてた。
ひとつ落ちるたび、堕ちて、堕ちて…。
君は気付いていたのに優しくて、僕はしがみつくように甘えていたんだ。
どんなに離れていても、心だけは離れてしまわぬように。
側に居なくても、気持ちがひとつであれば幸せだよね?なんて。
いつまでも隣でその笑顔見つめて、冗談混ぜ合わせた会話しながら。
二人の愛を深めて行ける、そう信じていたあの夜。
時はいつも二人を引き離す、いつもと同じように例外なく。
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