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―海煬side
空葉に会いたくて仕方なくなり、前の学校をやめて、神宮学園に来た。
ほんとはすぐにこっちに来る予定だったが、いろいろと問題がありこの時期になってしまった。
電話やメールで聞いていたので、俺様演技のことは知っていたのだが、実際目の当たりにするとすごいものだった。
でもそんな演技をしている空葉も可愛くて、抱きしめたい衝動を必死に抑えた。
どんな格好をしていても、どんな口調でしゃべっていても、俺が好きな空葉だ。
空葉は空葉以外の何者でもない。
可愛くて、優しくて、そして少し鈍感な空葉。
できることなら今すぐにでも好きと言ってしまいたい。
でも、俺は怖いんだ。
気持ちを伝えれば、親友という立場ではいられなくなる。
それは困るんだ。
空葉は俺のことを大切な人…
親友としてみている。
空葉はこれ以上、大切なものを失うことにたえられないだろう。
そして今度こそ壊れてしまうような気がするんだ。
だから
言わない。
イエナイ?
伝えない。
ツタエラレナイ?
きっと“親友”という言葉が、俺の気持ちへの
イマシメ。
―海煬side end
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