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「私が『聞いた』限りでは、人はいるみたいですよ。町の規模に対して多いか少ないかはちょっと分かりませんけど。それでも、やっぱり外に出ている人は少ないと思います」
メリルが自慢の耳で情報を仕入れてくれた。
「恐らく、フィオナの予想のどれかが当てはまるのだろうな。――まあ、どれであってもあまり芳しい状況ではないだろうがな……」
「恐怖政治、経済恐慌、集団失踪。悪い想像が膨らみますね……」
スノウの言葉にまたもやメリルが応える。
――三人とも、観察力というか想像力というか、洞察力が凄いな。
いつの間にか俺はすっかり蚊帳の外だ。
「この街の者に話を聞ければよいのだが……」
スノウは少し目を伏せた。
どうやらここで急いだ結論を出したりはしないらしい。
「だからさっき酒場に行こうって言ったのに」
「五月蝿い、過去の話を蒸し返すな」
取り付く島もない。なんと理不尽な。
ここで既に絶対王政が、恐怖政治が始まりかけているぞ。
なんというか、予想がつかない訳でもないんだけれど。
「そういえば、以前に聞いた話だけど――」
と、俺はある道具店の主人との話をした。
「「伝染病!?」」
三人は一様に目を見開いた。
そういえば言ってなかったな。
「ああ、どの程度かは知らないけど、結構拡がっているらしい。もしかしたらこの街にもその病気が来てるんじゃ……ない、……か?」
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