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…………つまり、俺のこの旅における意識が低いと、そう言いたいらしい。
だが俺は、今この瞬間までスノウが言うような発想に至らなかった
いや、正確にはその案は早々に頭から除外していた。
「お、俺はこの世界の政治とか法律とかは分からないから、邪魔になると思ったんだ」
そう、まさにこれが理由だ。
具体的にどうすればメリルが助かるのか分からない。そんな人間が計画の立案に加わっても足を引っ張るだけだ。
それよりも俺にはスノウから貰った腕輪がある。
今回は頭を使うより、指示の通りに動いた方がいいと思っていただけの話だ。
俺の意識は低くなんかない。考え方の違いだ。
「……そうか、それでお主は私の言うとおりに動けばいいと?」
スノウは俺の意見を読み取ってわざわざ口にする。
「それが駄目だと言っている!」
俺が小さく首肯したことを確認すると、彼女はまた語気を荒げだした。
「それでは私の後ろについているだけではないか! フィオナは置いておくとしても、この旅は三人の旅だろう! ならば私とお主――私達三人は隣同士、足並みを揃えるべきではないのかっ!? 私が今日までどれほど不安だったか……っ!」
スノウは息を荒げ、俺を真っ直ぐに睨みつける。
……正直に言おう。
その通りだ。スノウの言う通り。
『こ、この旅に身分も何も無い。皆協力し合う仲間なのだからな』
『お主は私と、ゆ、唯一対等な相手なのだぞ!』
彼女は何度もそう言っていた。
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