第四章 ハルボードの実態

17/56
前へ
/202ページ
次へ
 …………つまり、俺のこの旅における意識が低いと、そう言いたいらしい。  だが俺は、今この瞬間までスノウが言うような発想に至らなかった  いや、正確にはその案は早々に頭から除外していた。 「お、俺はこの世界の政治とか法律とかは分からないから、邪魔になると思ったんだ」  そう、まさにこれが理由だ。  具体的にどうすればメリルが助かるのか分からない。そんな人間が計画の立案に加わっても足を引っ張るだけだ。  それよりも俺にはスノウから貰った腕輪がある。  今回は頭を使うより、指示の通りに動いた方がいいと思っていただけの話だ。  俺の意識は低くなんかない。考え方の違いだ。 「……そうか、それでお主は私の言うとおりに動けばいいと?」  スノウは俺の意見を読み取ってわざわざ口にする。 「それが駄目だと言っている!」  俺が小さく首肯したことを確認すると、彼女はまた語気を荒げだした。 「それでは私の後ろについているだけではないか! フィオナは置いておくとしても、この旅は三人の旅だろう! ならば私とお主――私達三人は隣同士、足並みを揃えるべきではないのかっ!? 私が今日までどれほど不安だったか……っ!」  スノウは息を荒げ、俺を真っ直ぐに睨みつける。  ……正直に言おう。  その通りだ。スノウの言う通り。 『こ、この旅に身分も何も無い。皆協力し合う仲間なのだからな』 『お主は私と、ゆ、唯一対等な相手なのだぞ!』  彼女は何度もそう言っていた。
/202ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1086人が本棚に入れています
本棚に追加