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「それ、本気で言ってるのか」
俺は自分の中の怒りがまた鎌首を持ち上げ始めるのを感じながら、極力表に出さずに聞いた。
「意識を改めるのだろう? その言は曲げぬのだろう? 言ったことは守るのだろう? ならばどこに問題があると言うのだ?」
矢継ぎ早の問い。いや、問いの形を取っただけの結論だった。
「勿論、一応は旅の連れだ。必要な――計画のことくらいならば話もしよう。だがそれ以外で私に話しかけることは許さぬ」
有無を言わせぬ口調。
これは、流石に堪りかねる。
「スノウ、お前……」
「黙れ」
俺の言葉は怒気を孕んだ声に遮られる。
「今の貴様に名を呼ばれる筋合いはない」
スノウは蔑みの篭もった目でこちらをちらりと見、すぐにそっぽを向いた。
「…………」
本気だ。
「…………分かった、いや、分かりました、王女様……っ」
頭にガンガン血が上っているのが自分で分かる。
歯を食いしばって、どうにか気持ちを留める。
ここで言い返しても意味はない。今の俺は平に徹して、行動で証明するしか。
有言実行だ。ちくしょうめ。
「ふん、ならばもう口を開くな」
そう言ってスノ……王女様は見向きもせずに言う。
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