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さっきの決意、その舌の根も乾かぬうちで恥ずかしい限りだが。
俺はキレた。
「お前、いい加減に……!」
そう言って立ち上がろうとしたとき
「ま、まあまあっ! マサキさん! 王女様!」
両手を開いて制したのはメリル。
「お二人とも真剣なのはよく分かりましたから、この辺で」
間に入ってきた彼女はどうにも困り顔だ。
「――――っ」
その表情を見て、怒りに急ブレーキがかかる。
「ねっ? 止めましょう?」
申し訳なさそうに手を合わせる。
……確かに、これ以上は不毛だ。さっきの決意の通りに……。
「止めるも何も、既に結論は出ておる。私は元々これ以上話すことはない」
こいつ完全に喧嘩売ってるな。
「こやつの意識の低さは、計画に支障をきたす。お主もそう思わぬか? メリル」
聞こえよがしに王女様が言った。
「え? わ、私は別に……ってですからもう止めましょうって!」
話を蒸し返しだした王女様をたしなめるメリル。
メリルが目の前にいたのに、完全に意識から外れていた。
メリルがいるところで、メリルを助けるなんて話を――。
「悪い、ちょっと頭冷やしてくる」
俺は誰の返事を待つこともなく、席を立って部屋を出て、勢いのまま店を出て行った。
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