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「――ッ……する……ば……」
「ひど……わせてもら……!!」
「……せいに……あん……」
ゆらりゆらりと宙でさ迷っているような感覚の中、真琴は途切れ途切れに聞こえてくる声に耳を澄ます。
寝起きであることは間違いないのだが、ぼんやりと霞がかっている頭ではうまく思考をまとめられないと判断したからだ。
「――いきなり話し掛けたあんたが悪い!! よって私は悪くない!!」
「んな子供じみた理由で許されると思ってんですか!? 手元を狂わした挙げ句、関係のない人間を呑み込んだのはあんたでしょうが!!」
「あーあー聞こえなーい」
「~~世界神様!!」
はっきりと聞こえ始めた会話に、内心首を傾げる真琴。
ただ聞こえ始めたとしても、壁一枚を通して聞こえてくる感じだったので不思議に思ったのだ。
せめて姿を見ようと体を動かそうとして気付いた。――動かない。
何度挑戦してもゆらりゆらりと自由に宙に浮く体は何故か意志に反し動かず、真琴は徐々に恐怖に襲われた。
「まったく……どうするんですか、あの人間。必要だった人間はもうあちらに召喚されたとはいえ、巻き込まれた方を今更こちらに召喚したとしても問題になりますよ」
「うー、もういっそのこと力を与えてあちらに丸投げってのはどう?」
「あんたそれでも神ですか。あんたの管轄の人間なんですよ、最後まで責任持ってください」
「だからね、もうあちらに召喚した人間にとってさすが従妹ってなくらい血の繋がりはあるし力もあるから、この人間にも頑張ってもらおう!!は、ダメ?」
「……」
「なんで無言!? 悲しくなるからやめてよ、セラフー」
「……世界神様、人間が目覚めたようです。ってかぶっちゃけ目覚めるとは思いませんでした」
「……え」
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