第一章:従兄が異世界召喚。主人公は人間やめさせられました。

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セラフ、と呼ばれた声からして男だと思われる人物の言葉に真琴は心臓が口から飛び出してしまうのではないかと不安になるほど驚きを感じた。 気付かれた、得体の知れない者に自分が目覚めたことを。 未だに会話を続ける彼らからまだ機能する耳でかろうじて拾った単語は“世界神”“管轄”“召喚”“人間”“あちら”――真琴は息が止まるかと思った。 ありえない、アニメや漫画、小説じゃあるまいしと、自分はそんなことに巻き込まれるような人間ではないと、思い付くかぎり否定の言葉を内心で並べるも意味を成さない。 認めたくなかった。最近よく携帯小説で読んでいる王道だの脇役だのの設定で進む物語が目の前で自分を巻き込んで展開されていることに。 別に従兄が主人公格であったことに自分が脇役であったことにはなんら疑問は抱かない。 学校や日常生活でよく置き換えて考えたものだ。現実から目を背きたくなればなるほど、それは回数を増やしていったのだから。 兄から聞く友人の話から始まり、従兄を取り巻く日常に伯母の昔話、いつしか考えることに楽しみを覚え、それを断片的にメモして物語を作り出しては自分は思い知っていたのに。 自分は主人公にはけっしてなれないなと、夢を見ることもいつしかやめたそんな自分に呆れ果てては笑うことを繰り返した。 「……本当に起きてる……」 「嘘、この子本当に人間!?」 「世界神様がこちらで巻き込んでここに一時的に連れ込んだんでしょう……」 まさかそんな自分が巻き込まれたことに疑問しか出てこない。
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