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「確認しますが、神界には例外なく人間である私は留まれず、元の世界、つまり地球に戻そうにも……これは勝手な見解ですが、従兄の抜けた穴、いないという現実はこちらの身勝手で生じさせたものなので魔王を倒してもまた普通に暮らせるように時間を止めたので文字通りイレギュラーである私を戻すことができない。いや、戻すことが叶わなかった、の方が正しいんでしょうか。残された手立ては従兄を送った世界に私も送り、魔王が倒されるまでの期間を好きに過ごしてもらうだけ……だがこのままでは無力の私はあちらですぐに死ぬ。不手際で巻き込んでしまったからには死なせるわけにもいかないが、力を与えるにしても手続きが必須で時差三ヶ月は確実にかかると。間違いありませんね」
長々と確認事項を述べた真琴は思わず溜め息を吐いた。長い、長すぎた。
文句は胸中で、を言い聞かせ真琴は口の中が渇いて仕方ないことに意識を切り換えかける。
そんな真琴の心境には気付かなかったのか、世界神とセラフィムは一寸の狂いもない理解力に感嘆しながら数回頷く。
それを確認した真琴は、セラフィムの手前にある中身は健在のコーヒー牛乳を凝視しながら口を開いた。
「質問ですが、従兄に与えた力は世界神の力を切り落としたのか、はたまたあちらの世界神の力を切り落としたのか、それとも違うものですか」
「言い方がなんだかエグイけど、答えは全部かな。私とあちらの世界神のほんのちょっとの力を切り落として与えて、彼の潜在能力を表にぐぐーいと押し出しただけだしね」
そんな大したことやってないと笑って答えた世界神を一瞥して、セラフィムも口を開く。
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