序章:それは平和な日常。

3/6
392人が本棚に入れています
本棚に追加
/346ページ
「僕が寝たあともやってたんだ……真琴、夢中になるのもいいけどちゃんと寝ないとダメだよ」 「悠ちゃんや、それは私だけじゃなく兄貴や陽二にも言っておくれ。あいつら私以上に完徹続けてるから。主にゲームで」 「ゲーマーな二人に何を言っても無駄だって。まぁ陽二には勉強しろって言わないとなぁ」 溜め息を吐きながら、回転椅子を引き寄せ座る悠ちゃんこと若宮悠太。 名前のとおり悠太は男だ。どんなに顔立ちが中性的だろうと彼は男で、真琴とは兄弟ではなく従兄に当たる。 身長は真琴の頭二つ分の高さであり、隣に並ばれると嫌味にしかならないと低身長がコンプレックスの真琴は思う。 そんな従兄である悠太が真琴家にいるわけは、 「そういや母さんが朝ご飯できたって」 「お、そっか。んじゃちょいと沙恵さんの手作り朝食を食べに行きますかな」 悠太の母、つまり真琴にとっては伯母に当たる女性、若宮沙恵が単身赴任中の真琴の実の父親(沙恵にとっては弟)の代わりに家事やら何やらをしてくれているのだ。 始めは悪いと思って断ったが、従兄である悠太が真琴と同じ高校に入学を果たし、住んでいるところから高校は遠かったために同居を承諾。 今ではしっかりした沙恵に支えられている家計に、父親の面目は立つ瀬ないのだがまぁそこは無視をしておく。
/346ページ

最初のコメントを投稿しよう!