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「……オモチ、眠りこけた私なんかほっとけばよかったのにぃ。なんで自分まで捕まってんの、しかも私無傷だし」
ふと気付いたことを口に出して問えば、オモチは鼻を鳴らし小さな声で答える。
『見捨てるのは俺のポリシーに反する。それに……俺のせいでもあるからな』
「……バァーカ。後悔しても知らないし、責任取らないからね」
『いい。自己満足だから、そこまで求めぬ』
本当にバカだ、と真琴はつぶやくとオモチは俯いた真琴を一瞥し、優しく知ってると返す。
そんなやりとりを交わし何分経ったのか、ギギィと嫌な音を立て扉が開き数人の白衣をまとう男女が入ってきた。
その者達は抵抗する枷をはめた少女に少年、成人したであろう男女に老人、もはや人ではなくオモチと同様に獣やドラゴンを牢から出して並ばせる。
例にもれず真琴もオモチも牢から出され、並ばされた。
白衣をまとう男女からの視線が真琴に集中したのに不快感をあらわにした本人は見世物じゃないんだよと胸中で吐き捨てる。
視線が集中したのはここにいる者達より土や赤にまみれてより一層みすぼらしく見えるからだろう。
あとはそれにプラスして真琴の黒髪に黒目が珍しく感じたからに違いない、とオモチは思う。
「研究員六、研究員一と研究員二と一緒にあの少女を連れてデータを取れ」
「わかりました」
上司だと思われる男にそう言い渡された研究員一、二、六はあの少女こと真琴に近寄り乱暴に枷から伸びる黒い鎖を引っ張る。
オモチがピクッと反応するが真琴に視線で諫められ、オモチはオモチで別の研究員に連れられていく。
――連れられた先に待っていたのは、大小様々な機械と不気味な液体の入ったカプセルだった。
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