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しばらく悲鳴が轟く廊下を一心にオモチが駆け抜けていると、四方八方から響く滅びの音に焦りを覚えた真琴は叫ぶ。
「オモチー脱出どうするのー?」
『どうするもこうするも――』
オモチが角の先端に再び青白い塊を出現させながら曲がり角を出ると、そこには鉄格子のない窓ガラスが雁首そろえていた。
その窓ガラスに向けてオモチは塊を放ち、ガラスは無惨に壊れ大きな穴を作る。
『――こうするんだ、よ!!』
「うひゃあぁあああ」
オモチはその穴に向かって急加速し、落ちそうになる真琴とともに外に飛びだした。
キラキラとガラスの破片が舞う中で綺麗に着地してみせたオモチは、破片のせいで地味に傷を作り幾分強く毛を引っ張る真琴の無言の抗議に素直に謝罪し、崩れ始めた忌まわしい研究所を一瞥してから不気味に広がる森の中に警戒しながら進み燃え上がる研究所をあとにする。
「……展開が早いのぉー」
『嬢ちゃん、どうした?』
「なんでもなぁーい」
真琴はクスクスと笑いながら、オモチの怪訝そうな声にそう返した。
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