巻き込まれ系は、不幸に見舞われるか生み出すかをよくします。

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森の道なき道を進むこと数十分、オモチが巨体は目立つからという理由で普通の狼サイズに体を縮めてからは歩きで前へ前へと裸足の足を懸命に動かす真琴。 「……オモチ、聞いてもいい?」 『なんだ、嬢ちゃん』 「あそこにいる間、オモチは何をされたの?」 追っ手が来ていないか辺りを警戒していたオモチはその問い掛けに忙しなく動かしていた足を止める。 釣られて真琴も足を止めると、それを見計らってオモチは口を開き低い声音で、 『あの小さな穴蔵で一休みする。話はそれからだ』 と告げてきた。 体力の衰えを嫌というほど感じていた真琴は反論することなくこくりと首を縦に振り肯定し、一人と一匹は木々に隠れるようにぽつんと存在する穴蔵へと向かう。 やはりというか穴蔵の中は暗く、土臭い。 オモチが青白い塊を出して明かり代わりにし先に危険はないか様子見をしに中に入り、ないと判断してから真琴も続いて中に入り腰を下ろす。 息切れが激しい真琴にオモチは自分の足で歩かせたことを後悔するが、真琴に頭を撫でられその考えを奥に仕舞う。 どうやら、この短期間で情がわいてしまったらしい。真琴に対する心配が常に付きまとうことに内心呆れ返るオモチは首を傾げる真琴に視線を移し口を開く。 『……俺に行われたのは、魔力増量と属性付与、人化だ。元々知能が高く群れを為すことをあまりしないからか捕まらない一角狼だからな、今までやりたかった実験を嬉々として試してきやがったよ』 顔を歪め瞳に憎悪をたぎらせるオモチの頭を無言で撫でる真琴に、オモチは目を伏せる。 『実験は成功して、体毛が今じゃこんな色さ。人間の姿も手に入れたが、苦痛の毎日だったよ。嬢ちゃんはどうだった? 見たところクソ研究員と仲良くしてたみたいだが』 パタパタと一本になった尾を振りながらオモチが問い掛けると、真琴は苦笑を浮かべて口を開く。
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