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『嬢ちゃん、魔方陣はあとどれくらいで書き終わりそうだ?』
「あとちょっと。使い捨てを書き加えて終了」
幾何学的な二重円の中に四つの丸、そして周りには地球でルーンと呼ばれる文字が刻まれた魔方陣。
中には知らない文字も含まれているが、書くにあたって根気よく覚えた真琴にはあまり関係ない。
今なら丸を綺麗に書くことだって簡単だ。何故なら円が基盤な魔方陣が多く、それも練習を積んだから。
木の棒で漢字で“使い捨て”と刻もうと、真琴は休めた手を伸ばし――
「いたぞ、モルモットが!!」
――それは急に現れた追っ手によって阻まれた。
『奴ら、転移魔方陣の紙を持ってやがったのかっ!!』
「オモチ、牽制して!!」
察知できなかった追っ手に動揺をあらわにするオモチに、目を細め今までのマイペースな空気を消し去り鋭い声音で指示を出す真琴。
オモチは冷静さを欠きながらも言われた通りに角ではなく口から青白く光る玉を複数放ち、追っ手に牽制する。
「わわっ《我を守れ、ファイア》!」
「《守護しろ、サンダー》!!」
何人かが慌てて後ろに下がると、残る二人がやけに響く声音で何事か唱えると、二人の目の前に逆巻く炎と雷が音を立て現れた。
『魔法使いか……っ!!』
「うは、初めて見たっ!! でも詠唱が厨二っぽくない……ちょっち残念」
角の先に玉を作り出したオモチが忌々しそうに発した言葉に真琴は目を見開いたり眉を下げたりして本音をこぼすも、放たれた魔法に表情は失せ黒い瞳でそれを冷たく見据えた。
「オモチ、放て」
『お、おう』
急な変化に目を見張るオモチは角の先端に凝縮した力を複数に分け放つ。
その間に手早く“使い捨て”を魔方陣に書き加えた真琴は辺りに視線を走らせる。
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