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『嬢ちゃん……今更ながら聞きたいんだが、歳はいくつだ?』
「……十六、だけど」
固まっていたオモチからの唐突な質問内容にひくりと口角を痙攣させ嫌な予感に浸りながら真琴は答えると、オモチは目をこれでもかっ!と見開き今までで一番の驚愕に襲われた。
『初等部じゃなく高等部に通う歳だと……っ!? 詐欺だ……っ!!』
驚きのあまり口走った言葉に、嫌な予感が的中した真琴はぶつっと頭の血管が弾ける音を立て、わなわなと震えながら叫んだ。
「~~っ小学生じゃ、ないもぉおおーーんっ!!」
真琴にとってこの手の話題は地雷であったと、オモチはその身を持って体験した。
そしてボロボロになったオモチは追っ手を気にしながらも地雷を踏み黒くなったままの真琴に急かされながら転移魔方陣を発動させ、念願の魔界脱出を叶えたのであった。
心に“年齢を無闇に聞かない”と誓って。
「そういうオモチは歳いくつなんだよっ!?」
『え、人間でいえば十八だが』
「歳上とかふざけんなぁあああ!! てめえも見えねぇよバァカッ!!」
『え、ちょ、りふじ』
「問、答、無、用、じゃ!!」
『いてぇえええっ!! 尻尾を左右に引っ張んな嬢ちゃんっ!! やめてくれぇえええっ!!』
“真琴にはあまり逆らわない”と、深く心に刻み込んで。
オモチは涙をツーッと一筋流し、魔界脱出を叶えた。
――まさか、自分一人だけが無事に魔界から脱出を果たしたことに、オモチは想像もできなかった。
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