意外と感情(表情)豊かな無口幼女系が仲間(義妹)になりました。

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乱暴に引っ張られ連れられた先には鉄格子がはめられた小窓に金属の扉。 開けられた先は、狭く淀んだ空間に壁と隣接する石のベッドとボロい布が二枚、白いのに赤や茶色で汚れた水洗トイレと鉄格子の窓。 研究所で寝床にされていた小部屋と類似する個室に真琴は押し込められ、手を拘束していた長い鎖の枷を足にはめ替えてから小さな穴に通され外の固定具に固定される。 一連の作業を淡々とこなし、食事は一日一回で試合があれば訪れると告げてから中年の男性が部屋から去っていくのをただ見つめていた真琴はゆっくりと歩きベッドに横になる。 固く、寝心地は最悪。安眠は約束されないことを理解した真琴は、ふと気付く。 ベッドが隣接する壁に、紛れるように何か取っ手が付いていることに目を剥くが、とりあえずそれを引いてみる。 だがびくともしないことに少し首を傾げ、今度は押してみるもそれは陥没しただけ。 ますます首を傾げ、真琴は今度は横にスライドさせてみると、やっとそれは開いた。 小柄な人一人分の大きさの穴に、その先の代わり映えのない個室。 だがそこには人がいた。 白銀の地に着くほど伸びた髪、ボロボロの衣服から伸びる白く細い四肢には傷が見え隠れしていて、瞳は翡翠を彷彿させる緑色。 顔立ちは整っているが幼く、身長は真琴よりも小さいだろう。 「……新入り?」 鈴の鳴るような可憐な声に真琴はますます目を剥く。 そこに存在するのは美少女ならぬ美幼女。だがここは闘技場にある剣奴の個室。 まさかこんな幼女が剣奴、しかも新入りと問いかけてくる辺り彼女は長くここにいることがわかる。 信じられないが、真琴は無表情の幼女を見つめたまま頷く。 「……それ、私のために作られた扉。……ここは、女の子には甘い……男には容赦ない、そんな場所。……初めまして、あなたの名前は……なんですか?」 頷いたのを見つめていた幼女は真琴に負けず劣らずの無表情のまままた問うた。
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