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朝の静かな時間は進み、お昼もすぎてお菓子の時間。
さすがに起きた兄弟二人を交え、真琴と悠太はゲームとジグソーパズルをしていた。
「陽二、そこはダメだお!!」
「ちょ、兄ちゃん急に言われても動けな――あ、死んだ」
「ゲームオーバーかよー……もっかいやるぞ、陽二。次はあのドラゴンぶっころ!!」
「オッケー兄ちゃん!!」
「……何私の部屋でゲームやってんの、兄貴に陽二。騒ぎすぎ、煩い黙れ塵に帰れ部屋に帰れ」
「真琴……」
容赦のない真琴の辛辣な言葉を右から左に受け流し、兄貴こと若宮浩一、現在専門学校の二年生と陽二こと若宮陽二、現在受験生の二人はテレビゲームをカチャカチャと続ける。
冬休みに入る前からの日常風景に悠太はしばし頭を悩ませる。
浩一にとってゲームは将来のためという理由でやっているので注意しづらいし、受験生なのにゲームばかりする陽二は何を言っても生返事で怒りが倍増。
しかも二人に共通しているのは、真琴が頑張って貯めたお金で買ったゲーム機を独占し、あまつさえ部屋にまで押し入り騒ぎ放題のところ。
真琴のストレス発散がなかなか発揮されない状況下にとって、悠太はこういうハイテンションな二人は敬遠の対象だった。
まさに近所迷惑ならぬ家族迷惑な二人だ。
「……真琴、大丈夫?」
「……」
剣呑とした瞳の揺らめきに悠太はヤバイなと思う。
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