第一章:従兄が異世界召喚。主人公は人間やめさせられました。

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真琴の臨界点が突破されかけているときによく見せる瞳の揺らめきは、怒りのスイッチが入りかけているのを意味している。 しかも真琴の手元にあるジグソーパズルは完成間近。 ちょっとのことでキレてしまう、そんな一触即発な状態。 「真琴、ちょっとリビング行って温かいミルクココア飲まない?」 先手を打たなければ、と悠太は焦りを表情には出さずに真琴をさりげなく誘う。 ここにいても騒がしいだけ、と真琴は結論付けてかすかに頷き、さっさと部屋から出ていく。 ジグソーパズルを置いた片付け簡単なテーブルを未だ騒ぐ二人から離れた位置にちゃっかりずらしてから、だが。 それを見送ってから、悠太は柔らかな微笑みを瞬時に消し去り二人を絶対零度の眼光で睨みつける。 「……二人とも、いい加減部屋に戻れ。真琴を困らすな」 この最後の忠告、というか警告に生返事をする二人に悠太は素早く何処に仕込んでいたのか不明な黒く短い木刀を取り出し、二人の微妙な隙間に突き付ける。 「戻れ……その頭かち割られたくなかったらな」 これが決め手となったのは言うまでもないだろう。
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