~序章~命を賭して

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妖怪の山に住む者達は勿論のこと、山の麓にある里の人々までもが守矢神社と守矢の神々を信仰しはじめるようになったのだ。 博麗神社の参拝客は瞬く間に減ってゆき、最終的には誰もその場に訪れることはなくなってしまった。 この事態が面白くなかったのが神社の巫女であった博麗霊夢である。 彼女は、この幻想郷に神社はふたつもいらない。信仰はこの博麗神社の元にあるべきだとして守矢神社の移転以来、割りを食ってきた仲間、霧雨魔理沙、伊吹萃香と共に、合成獣キメラ賽銭箱を率いて守矢神社―妖怪の山への侵略を突如として開始した。 霊夢率いる軍団は行く先々で家々を燃やし、街を焼き払い、人々を虐殺した。 そして悪魔の化身たるキメラ賽銭箱は人々から金品を巻き上げてゆくのだ。 もはや忘却の彼方にあった博麗霊夢の巫女の豹変と凶行に人々は畏れ、そして、憎悪した。 博麗神社の侵攻による被害が日に日に増してゆく中で、妖怪の山は河城にとり博士が先端技術であった核融合を動力とした、ロボット。非想天則の投入を決定した。 非想天則は元々は、将来の宇宙開発の為に作られた機体だったが、その能力の高さを買われ戦闘用に転用されたものであった。 そして、信仰者を護る為に自らパイロットに志願した早苗達は幾度も霊夢の遣わした勢力を、敵を倒していった。 だが、霊夢は末端の部隊の進攻があまりに遅々としていたことに、苛立ちと焦りを覚え、遂に自らが前線で直々に指揮を取ることを決めた。 本拠地であった博麗神社そのものを移動指令部兼要塞として、全力進攻を開始したのだ。
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