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少年は紫色の空を眺めていた。
目の前には高くそびえ立つ塔、その風景を静かに草原に寝そべり見ていた。
近くには街があるようで少年はそれを一瞬見ては塔に赤い瞳を戻した。
心地よい風が緋色の髪を撫でる。
そんな少年しかいない草原で人の声が聞こえてきた。
「お~い!リノ~!」
それは低い男の声だった。
顎には髭を生やし、たくましい腕、大きな体で少年の方に走ってきて。
「どうした?」
リノと呼ばれた少年、リノ・アレナスは、男の方を向かずに言い
「また騎士団だ!しかもグリネール帝国の!」
男が自分に言いたい事が分かったのか少年は立ち上がり
「なら早く行こう!彼奴等は放っといたら危険だから」
少年は草の生い茂った大地を蹴り、街へと走り始める。
それに男が続く……
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