『どうして』

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今日の彼女の計画はこうだ。 まず、部屋に布団を敷いておいてそこに着物でもなんでもいいから入れる。 自分が寝ているかのように布団を偽装。 寝ているのなら呼びかけに応えなくても怪しまれないはず、と考えた璃桜。 着物から袴に着替える。 この日の為に、璃桜は斎藤の袴をひとつ盗んでおいた。 それはやはり着物は不便だと思う理由からの行為だ。 次に誰もいないのを確かめて庭へ出る。 庭の隅をひたすら歩いて門へ行って、京の町に出陣しようとする璃桜。 ――なんとかあの川まで行かなきゃ。 よし、完璧だ。 今日の新撰組幹部の予定は、璃桜は大体把握済みだった。 近藤、土方、永倉は松平の殿様に謁見のため外出中。 藤堂、原田は京の町を巡察中。 ――山南さんと井上さんは大体稽古場にいるもの。 監察の人たちも町に出払ってるし、ちょうどいいよね! ――未来に帰るには、自分の力を頼るしかないと思うから。
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