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雨が降っていた
この街はいつも雨がふっている
それは天候の話とかそういうものではない
今も銃声が響いた
パンっという一つの銃声でまた一つの命が途切れたのだろう
それもまた一つの運命
仕方がないことなのかもしれない
いや、こういう世界に身を置いてる自分が仕方がないというのは少し不謹慎かもしれないな…
血の雨が降り続けるこの街で僕は一つの宝物を見つけてしまった
その震えながら今にも尽きそうなそうなその子猫に僕は自分に使っていたビニール傘を捧げた
「こんなに濡れてかわいそうに…」
僕はさらに自分の羽織っていたトレンチコートを子猫にかぶせもっていたハンカチでその顔を拭いた
「こんな世界に生まれていなければもっとうまく生きれただろうに…」
僕はその子猫を優しく抱えて連れて行く
小さな命でも守ろう
こんな街(セカイ)なのだから…
子猫を抱えた男の通り名は「クール」
後に大成し三大怪盗の頭脳派として名を連ねる男である
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