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「私?そうね…お節介やきかしら」
不敵に女は笑う。
白髪で黒い瞳の女。片方のもみあげだけ少し長い。
「私歌ってだけですよ?それてもお節介するほど私音痴かしら?」
「そんなことないわ。綺麗な声よ」
ケイは少し怪しく思い疑いの目を向けた。
「あら?そんな目をしないで。少し聞きたいことがあるの」
「なんでしょうか」
「その歌は誰に?」
「…お母さんです」
ケイは少し俯いた。
「そう。ご健在かしら?」
「わかりません」
「わからない?曖昧な言い方ね」
「小さい頃出てったきり連絡はありませんから」
そう言ってケイはまた少し悲しい目をした。
「なら、夜明けの晩に気をつけるのね。あとハチにもね。」
「夜明けの晩と蜂?」
「忠告はしたわよ。じゃあね」
「待って下さい!」
女は聞かずに立ち去っていった。
「夜明けの晩…」
(知らないなんて嘘…なんでついたんだろう)
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