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彼女は続けた。
「死んだその日に、影送りをするの。そうすると空に写された自分の影に死者の魂が乗り移って影が消えるまで死者に会えるの」
「へぇ…」
軽くオカルトに戻ったことが彼の興味を湧かせた。
「でもね…」
「でも?」
突然鳴り響く着信音。彼は少し驚いた。
「ごめん。お母さんから。帰るね」
「おい続き…」
「続きは今度ね」
そう言って別れた。
そんな話も忘れて、10年がたった。
今年大学を卒業する。彼は公園にいた。
「そういえば、あいつ何してるかな?」
幼なじみとは高校が離れそのまま殆ど連絡もせず、久しぶりに寄った幼い頃よく行った公園で幼なじみのことを、ふと思い出した。
「影送り…か…」
彼は幼い記憶を辿りながら影送りをした。
「ほんとだ。写ってるわ」
送った自分の影を見て幼なじみをまた思い出していた。
「ねぇ、あなたいつもそれやってるの?」
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