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カゴメ
「か~ごめ、か~ご~め~」
1人の少女は歌う。
「か~ごのな~かの、と~り~は~」
「い~つ~い~つ~…」
少女は、窓から見える空を見上げた。
「お母さん…」
ーーー…
「ねぇ、ケイ!」
彼女は体を揺らされる。
「ん…あぁごめん、ごめん」
「もう!次体育なんだから早く着替えて行こうよ!」
彼女は眠い目をこすって、体操服を取り出す。
「ねぇ!夏休みどうしよっか?」
「どうするって別に、いつも通りゆいん家でぐ~たらでしょ?」
体操服に袖を通す。
「それじゃつまらないでしょ!やっぱり夏と言えばあれよ!か・い・だ・ん!」
「いつも使ってるじゃない」
「そっちじゃない!怪談よ!肝試しとか!」
「知ってるけど。さっ行こう」
興味のない顔をして教室を出る。
「ちょっ、ちょっと待ってよ!」
夏の体育館は、正に蒸し風呂と言っていいほど蒸し返していた。
「で~、さっきの続きだけど~」
「こんな蒸し暑いのに、鬱陶しい」
体操服をうちわ代わりに仰ぐ。
「こんな話知らない?」
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