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ピンポーン… 合同で忘年会が行われた日だった。 会場から出ると、眞依美さんが必死に彼女を運んでいた。 酔っ払っているのか、彼女の足は千鳥足で、とうとう廊下の真ん中で二人転んでしまった。 その拍子に、眞依美さんは足を少し傷めたみたいで、俺が代わりに彼女を部屋まで送った。 その時は、すぐに彼女をベッドに寝かせて部屋を出た。 けど、部屋を出て着ていたスーツの胸ポケットには、彼女が持っていたハンカチが入っていた。 それに気づいた時は、会場が片付け終えた後だった。 迷ったが、再びハンカチを手に彼女の部屋へ訪れた。 酔っ払っていた彼女は、意外にも早くドアを開けてきたから驚いた。 「…これ、胸ポケットに入ってましたけど?」 ドアが開くなり、すぐに俺は顔も確認せずに話した。 会場の片付けをしていたら、神谷が慌てて携帯で話しながら出ていくのは確認済みだ。 慌てさせる相手なんて、先ほどまで彼女と一緒に居た眞依美さんぐらいしかいない。 「わざわざ、ありがとう。」 満面の笑みで彼女は答えた。 .
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