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「こんにちは。高橋さん。」
振り返って見ると、そこにはパジャマ姿の眞依美さんが立っていた。
「ご出産、おめでとうございます。樫村リーダー。」
冗談が言いたくなり、サラッと言うと眞依美さんは一瞬目を大きくさせるとフワッと笑い出した。
「久しぶりにリーダーって呼ばれた気がします。」
長い髪の毛を、片方に縛っているだけの彼女の表情はしっかりしていて、すっかり母親になっていた。
「…あっ。そうだ。
はい。何を貰って嬉しいかわかんなくて。」
手に持っていた花束を眞依美さんに渡した。
「ありがとうございます。」
素直に喜んでくれて、ホッとした。
「高橋さん。新生児室はこっちです。」
神谷が、見計らって声をかけてきた。
新生児室まで向かう間も、傷がまだ癒えない眞依美さんを気遣う神谷が微笑ましく見えた。
ナースステーションの側まで移動すると、その隣に連繋して新生児室があった。
「高橋さん。この子ですよ。」
ガラス張りになっていて、新生児室の中が見えた。
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