何もかも切なくて

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私は出来る限り神妙な声を出して言う。 前置きの段階から申し訳ない気持ちを声に滲ませた。 良くない結果を受け止める心構えを、鬼山にして欲しかったから。 私の思いが通じたのか、鬼山は穏やかな小声で尋ねてくる。 「ダメだったんですか?」 「結果から申し上げると、そうです……。本当に申し訳ありません」 「……」 鬼山が黙ってしまった。 きっと、この後は怒声になるだろう。
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